【患者様向け情報】不妊症検査

不妊症の原因

 妊娠が成立するためには、卵子と精子が出会い、受精して着床するまで、多くの条件がそろう必要が有ります。そのため、不妊症の原因は、多くの因子が重複したり、逆に検査をしても、どこにも明らかな不妊の原因が見つからない原因不明のものもあります。その比率は女性のみが原因の場合 40%、男性のみ 24%、男女ともに 24%、原因不明 11%といわれています(WHO)

不妊症の原因

女性の不妊症の原因

 卵単因子(排卵障害)、卵管因子(閉塞、狭窄、癒着)、子宮因子(子宮筋腫、子宮内ポ リープ、先天奇形)、頸管因子(子宮頸管炎、子宮頸管からの粘液分泌異常など)、免疫因子(抗精子抗体など)などがあります。

男性の不妊の原因

 射精がうまくいかない場合(性機能障害)と、射精される精液の中の精子の数や運動率が悪くなっている場合(精液性状低下)、受精障害などがあります。

原因不明と考えられるもの

  • 1. 卵管が開通しているにもかかわらず、精子と卵子が出会えていない(pick up、繊毛運動、卵管蠕動運動の障害など)。
  • 2. 良好精子に見えても受精能力が不良である。
  • 3. 卵子の質が不良。(年齢が37歳以上、卵巣の手術の既往、子宮内膜症など)

基礎体温

 卵巣機能の正常な女性は、月経開始から約2週間の低温期が続き、排卵すると黄体ホルモンの影響で、その後約2週間高温期が続きます。
 基礎体温が 2 層性になることにより排卵の有無や、高温期の日数により黄体機能不全の判定もできます。

基礎体温

超音波検査

 超音波プローベを膣の中に挿入し、子宮筋腫、子宮腺筋症や卵巣腫瘍などはないか確認を行ないます。また、定期的に卵胞の数や大きさを測定して排卵日の予想を行ないます。さらに排卵前後 の子宮内膜の状態や厚さの確認も行います。

卵胞(卵子を含んでいる袋)の測定

卵胞は約18mm前後になると排卵します。

子宮内膜の厚さの測定

排卵直前の内膜は、三層構造で8ミリ以上

子宮内膜の厚さの測定

精液検査(WHO)

静液量 1.5ml以上
精子濃度 1500万/ml以上
総精子数 1ml中に3900万以上 3900未満は乏精子症
運動率 40%以上 40%未満は精子無力症
正常形態率 4%以上 4%未満は奇形精子症

精子の濃度、運動率、形態などがわかります。
採取してから2時間以内に提出して下さい。病院内にも採精室があります。

フーナーテスト(性行後試験)

 フーナーテストとは、排卵日頃性交渉をもっていただき、性交後の子宮頚管粘液中の精子を採取して、精子の数や運動を観察して頸管粘液と精子の相性をみる検査で、妊娠を阻害する原因があるかどうかを調べることが目的です。

 検査の12時間前くらいまでに性交渉をして、子宮頚管から粘液を注射器などで採取して顕微鏡で調べます。

フーナーテストの判断基準

動いている精子
15個以上の場合 :「優」

 多くの精子が元気よく動いているのが確認でき、妊娠率が高いと判断します。

10〜14個の場合 :「良」

5〜9個の場合 :「可」
 良、可は十分に妊娠が期待できると判断されます。

4個以下の場合 :「不良」
 頸管粘液あるいは精子に何らかの問題があり、自然妊娠が難しいと判断します。

抗精子抗体
 フーナーの結果が不良の場合は精子の運動能力を落とし停止させてしまう抗精子抗体の存在が 疑われます。(免疫性不妊)。

ホルモン検査

 ホルモン値は、月経周期の中で変動します。そのため、その周期の基礎値である月経 2‐3日目、 排卵日頃と黄体中期に必要に応じて血液を採取してホルモンの評価行います。

ホルモン検査

月経2-3日目の基礎値(基準値)

 E2(卵胞ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、プロラクチン(乳 腺刺激ホルモン)などを調べます。

 E2(卵胞ホルモン)は、卵胞内の細胞から分泌され、卵子の成長を促すとともに、成長に伴って増加し、排卵日頃にはピークとなり、LHサージを促します。また、子宮頸管に作用し、精子が子宮内に侵入しやすいように、粘液分泌を増加させます。

 FSH(卵胞刺激ホルモン)は、卵胞の発育を促すホルモンです。加齢などにより、卵巣の反応性が衰えてくると、このホルモンが上昇します。

 LH(黄体化ホルモン)は、成熟した卵胞に作用し排卵を起こさせ、黄体化を促し黄体を形成します。

 プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)は、乳汁を分泌させるホルモンです。異常に高値になると、 卵の発育、排卵が障害され、月経が不順や、無月経になることがあります。

排卵日

 E2(卵胞ホルモン)は、卵胞の成長に伴って増加し、ピークに達すると、LHサージ(排卵前期の著しい上昇)を促します。このため、卵の成熟度を示す E2(卵胞ホルモン)と、排卵させる LH(黄体化ホルモン)の値を調べることにより、排卵時期を予想することができます。

排卵日
排卵日

黄体中期

 精子と卵子が卵管で受精し、分割を繰り返しながら子宮内膜に着床するまでに 5‐7 日かかります。その間、黄体化した卵巣から分泌されるP(黄体ホルモン)と E2(卵胞ホルモン)により、 子宮内膜を形成し、受精卵が着床する準備をします。
 E2(卵胞ホルモン)とP(黄体ホルモン)を測定することにより、子宮内膜を形成し、妊娠を維持するだけの十分なホルモンが出ているか評価します。
 P(黄体ホルモン)が低値の場合、黄体機能不全となります。

それ以外の血液検査

AMH(抗ミューラー管ホルモン):卵巣内の卵子の数を推測します。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT4(甲状腺ホルモン):胎児の発育に関わるホルモンです。機能異常で流産率が上がります。
感染症(HIV,B 型肝炎、C 型肝炎、梅毒、クラミジア、風疹)血液型、貧血、肝腎機能検査など

LH-RH,TRH 負荷検査

LH-RH,TRH 負荷検査

 LH-RH、TRH 負荷試験とは、排卵障害、無月経、月経不順などの内分泌異常を調べる 検査です 。LH-RH,TRH は視床下部から分泌され、下垂体を刺激し、LH、FSHとプロラクチン(PRL) のそれぞれの分泌を促します。この LH-RH のホルモンを注射することにより、下垂体からのLH、 FSH 分泌の反応値(0 分、30 分、60 分、120 分)をみることにより、排卵障害の原因を調べることができます。また、TRH を注射し、反応値を評価することにより、高プロラクチン血症の有無を調べることができます。

LH-RH,TRH 負荷検査

LH-RH 試験による評価(今日の不妊診療から引用)

子宮卵管造影検査

 子宮内に細いカテーテルを挿入後、その管から造影剤を注入し、レントゲン写真を撮影します。 卵管の通過性、閉塞、卵管周囲癒着、子宮の奇形、粘膜下筋腫の有無、腹腔内癒着の可能性の有無などを診断することが可能になります。

子宮卵管造影検査
子宮卵管造影検査

ソノヒステロ

 子宮内膜のポリープの有無を調べる検査です。子宮腔内に細い管を入れ、そこから生理食塩水を注入し、超音波で診断します。

ソノヒステロ

子宮鏡検査

 子宮腔内に内視鏡を挿入し、子宮の内腔を観察することができます。着床の障害になるポリープや粘膜下筋腫の診断に有用です。

子宮鏡検査

腹腔鏡手術

 腹腔鏡は、臍から腹腔内に炭酸ガスを注入し、内視鏡の挿入を行い、腹腔内を観察して検査・診断、治療を行います。
 腹腔鏡下手術は、腹部に 2〜4 か所の小さな穴をあけ、内視鏡を挿入し、腹腔内の画像をテレビモニターで観察しながら、専用の手術器具を使って操作を行います。開腹手術に比べて創が小さく、手術後の痛みも少なく、術後の癒着の可能性も低いため、身体への負担が少ない。このため、 入院期間が短く、手術後の日常生活の質を向上することができます。

(目的)
1. 不妊症の原因検索 (卵巣卵管周囲癒着、卵管采の状態など)
2.子宮内膜症
3. 子宮筋腫
4. 良性卵巣嚢腫
5. 子宮外妊娠 など
(合併症)
腹腔内出血→開腹術へ
臓器損傷など

腹腔鏡手術
腹腔鏡手術

正常腹腔内所見

  • 正常腹腔内所見
  • 正常腹腔内所見
インジコカルミンによる卵管疎通性の確認
  • 癒着による可動域の悪い卵管采
  • 硬く広がりの悪い卵管采
子宮内膜症
  • 子宮内膜症の癒着
  • 卵巣腫瘍

今後の診療

タイミング指導

タイミング指導

フーナーの結果
 結果が優、良の場合タイミング。不良の場合は人工授精をすることもあります。
 AIH 複数回不成功例は体外受精、顕微授精を検討します。
AIH(人工授精)
IUI(子宮内人工授精)
ITI(卵管内人工授精)
DIPI(腹腔内人工授精)


 自宅で採取した精子を当院の専用容器に入れ、2 時間以内に病院へ持参していただきます。また、院内で採取することも可能です。
 来院時ホルモン検査により、排卵直前の場合、すぐに精子が必要になりますが、仕事の都合など 来院できない御主人様のために、事前に精子を凍結することも可能です。

 精子注入後、15分程度で帰宅できます。

人工授精の流れ

 不妊検査の結果が乏精子症や精子無力症、両側卵管閉塞、免疫性不妊症(抗精子抗体や子宮内膜症など)など原因が明らかな場合は、体外受精や顕微授精の適応になります。 通常の不妊検査をしても明らかな原因が見つからない原因不明不妊症も体外受精の適応となります。
 原因不明不妊とされる中には、精子に受精能力のない受精障害、年齢による卵子の質の低下、卵管の機能障害、卵管采の卵子のpick up障害や主席卵胞に良好な卵が入っていない場合などが考えられています。 体外受精や顕微授精は精子と卵子を高率に受精させることができます。精子と卵子が正常であり、確実に受精をさせることができれば、正常に受精卵も分割し、妊娠が期待できます。
 原因不明不妊の患者様に長期タイミングや人工授精を行うことは、妊娠する機会をさらに減らす可能性があります。このため、他の不妊治療を早めに切り上げて体外受精に進む必要も考えなくてはいけません。

 日本産科婦人科学会の調査によると、生殖補助医療を用いた治療は、2010年の生産分娩に至った治療周期は11.4%新鮮胚治療周期で生産分娩にまで至った治療周期は 6.0%凍結融解卵・胚周期治療で 21.7%でありました。
 2010 年の治療成績について治療を受けた女性の年齢による分析を治療あたりの生産率でみると、32歳ぐらいはではほぼ一定で、約 20%の生産率がありますが、32歳より高齢になると徐々に下降し(約 1%/歳)、37歳からは下降率も急激(約 2%/歳)となっています。
 39歳では治療開始周期あたりの生産率は 10.2%ですが、40歳では7.7%、44歳で1.3%と40歳を超えると生殖補助医療での生児獲得もかなり厳しくなります。また、妊娠後の流産率をみると、31歳ぐらいまでは約 16-18%で推移しますが、32歳から徐々に上昇し 37歳ぐらいからは急激な上昇となります。39歳で 30.4%、40歳で 35.1%、43歳で 55.2%となっています。
 このように生殖補助医療の治療成績は、年齢がその成績に大きく影響していることがわかります。生殖補助医療を受ける場合でも可能ならばより若い時期に受けることが大切に なります。

図1. 2010年生殖補助医療の治療成績(年齢別)

図1. 2010年生殖補助医療の治療成績(年齢別)

ET:胚移植 日本生殖医学会引用

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